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暴力団排除条項に基づいての口座解約
2017/07/28
こういう最高裁決定が出ていることご存知ですか
九州にD会という指定暴力団があります。
その暴力団の会長ら幹部二人が、
三井住友銀行とみずほ銀行に口座を開設していました。
ところが、三井住友銀行とみずほ銀行は、
暴力団排除条項に基づいて、口座を解約してしまいました。
そのため、会長らが、口座を解約したことは無効である、
と言って裁判をおこしました。
第一審の福岡地裁と、第二審の福岡高裁が、
「既存の口座に排除条項を適用しないと暴力団排除の目的を達成するのは難しい。2人が解約によって受ける不利益も反社会的勢力への所属をやめれば避けられる」などとし、解約は有効と判断しました。
そこで、会長らが最高裁に上告していたわけです。
最高裁は、一審と二審の判断を尊重して上告を棄却しました。
ここで、暴力団排除条項についてみてみますと、
「預金者が暴力団員と判明した場合、口座を解約できる」
という内容で、会長らが口座を開設したのが
1999 年〜2006年で、その時は排除条項はありませんでした。
排除条項が約款に加えられたのは2010 年で、
両銀行はこの付け加えられた条項によって、
2015年の4月〜5月にD会の会長らの口座を解約したわけです。
会長らからすれば、契約を締結する時、
約款に影も形もなかった条項を
一方的に付加されるわけですから、
契約の意味がない、と言いたくなるでしょう。
実際、契約が勝手に変わったらビジネスは成り立ちません。
一連の判決は、それでも排除条項を有効だとしました。
そこには、法論理というより、暴力団排除のためには
やむを得ないという政策的な価値判断が入っていると思われます
。
また、暴力団関係者と言っても子どもがいる人はたくさんいます。
口座を解約されることによって、
家族はいわれのない不利益を受ける恐れがあります。
さらに、判決は、解約によって受ける不利益は
反社会的勢力への所属をやめれば、避けられる、とも言います。
しかし、実際、暴力団の会長までやった人がカタギに戻れるでしょうか。
ハッキリ言って、カタギになろうとしても、
警察から執拗なまでに嫌がらせを受けるのが実際のところです。
さて、近代合理主義を経て、
現代社会に生きる私たちとしては、
どのように考えたらいいのでしょう。